新形式情報

2009年7月号掲載

JR東日本E259系


東京方先頭車クハE258-1以下6連


DT77形台車


運転台

1991(平成3)年に登場し、成田空港へのJR東日本空港アクセス特急「成田エクスプレス」に運用されてきた253系の置き換え用として、コンセプトに「快適性の向上」「ユニバーサルデザインの採用」「セキュリティの向上」を掲げ製作された新形式。
ホワイトをベースに窓回りをブラックアウトし、車体上部にアクセントの赤色を配した253系のデザインを継承したアルミ製車体で、編成は東京方から1号車クハE258―2号車モハE258―3号車モハE259―4号車モハE258形500番代―5号車モハE259形500番代―6号車クロE259の6連で、増備により多彩な編成バリエーションを構成した253系と異なりシンプルになっており、6連単独または2編成併結で運用される。
先頭形状は高運転台となり、併結運用に備え自動開閉式貫通路、自動展開・収納幌、電気連結器、自動解結装置を備える。特筆すべきは同社在来線営業用車両としては初めて、先頭車にアクティブサスペンションを装備したことで、また各車間には車体下部で連結する車体間ダンパも装備し、乗り心地の向上を図っている。
車内も黒い座席に赤い枕カバーという253系のコンセプトを踏襲しているが、すべて転換式のクロスシートとなり、グリーン車座席は2+2配置ながら本革シートとなる。
また、グリーン個室は廃止された。グリーン車は窓回りを除き木目調の化粧板を多用、普通車も腰板部、また荷物置場・便所・洗面台も同様となる。各車客室天井部枕木方向に数カ所、次駅や現在位置、ニュース、フライトインフォメーションなどの情報を多国語で表示する液晶モニタを備え、国際空港利用客に配慮、車端部の大形荷物置場はダイヤルロック式錠や防犯カメラが設けられ、座席が離れていても安心して荷物を預けられるようになっている。液晶モニタはデッキ部壁面にも設置され、また普通車デッキには折り畳み式の補助椅子も設けられている。電源コンセントは普通車を含む全座席の肘掛先端に標準装備とされた。車椅子対応座席は5号車モハE259形500番代に、車椅子対応大形便所・多目的室は6号車クロE259に備えられている。台車は軸梁式のボルスタレス台車で、M台車はDT77、T台車がTR262A。最高運転速度は130km/hとなる。
2009年秋より営業運転を開始、全22編成の合計132両が導入される予定である。

撮 影:鎌倉車両センター 2009-5-8 編集部


東京都交通局8800形


8802


FS91B形台車


運転台

老朽化が進む在来車7000形の更新を目的として製作された新形式。「丸みのあるスタイルで優しさと親しみやすさをイメージしたデザイン」を外観のコンセプトに、2007年に導入した9000形レトロ車両と異なる近代的な外観を持っているが、従来車とまったく異なる白をベースに、荒川線沿線に咲くバラをモチーフとした明るい赤を配したカラーリングは一般からの投票により選定されたもの。
車内も壁面が白でまとめられており、バリアフリー対策としてスタンションポール、一部の低くされた吊革、乗降口ステップ部を黄色くして視覚的なコントラストを持たせている。また、車内表示は運転台平面上部に15インチ×2画面のカラー液晶式次駅案内表示装置を備えている。定員は61名で、座席定員は20名。座席配置はロングシートを主体に運転席後部右側(乗降口の反対側)に前向きの1人掛け座席2座を配する従来車と同じ点対称のレイアウトで、中央寄り乗降口に隣接して車椅子スペース(2カ所)も設けられている。車外の行先表示は前面・側面ともにLED式。運転台は昨今の路面電車新形式とは異なり、従来のスタイルの縦軸式マスコンとブレーキハンドルを備えるオーソドックスなレイアウトとなっている。
制御方式はVVVFインバータ制御で、環境対策に重点を置き従来の車両に比べて約2割の省エネルギーを実現した。ブレーキは電気指令式で、回生・発電ブレーキのブレンディング制御を行う。集電装置はシングルアーム式パンタグラフ。台車はシェブロンゴムによる軸箱支持方式のボルスタ付き台車で、60kWの出力を持つ各1個の主電動機を装荷する住友金属工業製のFS91B。
2009年度はアルナ車両で8801・8802の2両が製作され、4月26日に出発記念式典を開催、同日から営業運転に就いた。

撮 影:荒川電車事業所 2009-4-13 編集部

2009年5月号掲載

近畿日本鉄道22600系


大阪方先頭車22901以下4連


KD314C形台車

スナックカー12200系の置き換え用として、1992(平成4)年に登場した22000系"ACE"の流れを汲む新汎用特急車22600系「Ace」が登場した。22000系と同じく広く各路線で運用されるスタンダードな特急車両で、外観は22000系を基本としながら、さらに滑らかでスピード感を強調したものとなっている。また特に車内の快適性を重視した設計となっており、客室内全席禁煙・デッキ部に喫煙室を設置し分煙化の徹底、シートピッチ・背もたれ高さを拡大したシート、座席にコンセントの設置、温水洗浄便座を導入したトイレなど、高水準の快適空間を実現している。
全鋼製の車体で構成される編成は大阪方からモ22600(Mc)-サ22700(T)-モ22800(M)-名古屋方先頭車ク22900(Tc)の4両で、十の位が50番代となるモ22650(Mc)-ク22950(Tc)の2連バージョンも製作される。大きなガラスで仕切られた喫煙室はク22900形の前位デッキに設置、便所・洗面所はク22900・サ22700形に設置し、うちサ22700形のものは車椅子対応の大形便所となる。シートは22000系のグレー系のモケットと異なり、明るい赤系の色調となり、車内の印象も大きく異なっている。先頭部は22000系と同様自動収納幌と自動解結装置・電気連結器を装備する。行先表示器は正面、側面ともにLED。台車は基本設計が21020系アーバンライナーNextと同じ積層ゴムブッシュ軸箱支持方式のボルスタレス台車で、M台車はKD314B、T台車がKD314C。最高運転速度は130km/hとなる。
製造は近畿車輌で、2008年度には4両編成2本、2両編成1本の合計10両が製作され、4月1日より営業運転を開始、2009年度には22両が導入される予定である。

撮 影:高安車庫 2009-3-5 焼田 健


JR西日本683系4000番代


大阪方先頭車クロ683-4501以下9連


WDT301形台車

現在「雷鳥」に運用されている485系の置き換え用となる新番代で、681系、683系0番代・2000番代との併結を考慮し、基本性能・システムは同一としながら、安全性の向上、サービス向上を図っている。編成は大阪方1号車クロ683-4500(Tsc5)-サハ682-4300(Tp3)-モハ683-5400(M4)-サハ682-4400(Tp4)-モハ683-5000(M)-サハ683-4700(T7)-サハ683-4800(T8)-サハ682-4300(Tp3)-金沢方9号車クモハ683-5500(Mc5)の3M6T・9両固定編成で、681・683系とも併結可能となっており、従来どおり金沢方に3両増結しての12両編成での運転も可能である。また、従来形式では一部不統一だった乗降用ドア位置がすべて大阪方へ統一されている。車体強度向上策としてアルミ車体では初めてのオフセット衝突対策構造を採用、先頭部分は両先頭車とも貫通構造だが、大阪方クロ683形4500代は現状では幌カバー装置の準備工事のみが行われ、貫通扉はダミーの塞ぎ板となっている。車内デザインはインテリアカラープランについては使用材料も含めて全面的に変更し、従来号車ごとに色調を変えるなどしていたものを青系に統一を図ったものの、基本構成は従来車と同様としている。グリーン車座席は2-1人掛の配置で、枕サイズを大型化し詰物を変更、またコンセントを1人分ごとに設置するように変更し、2人掛座席では中肘掛に、1人掛では側肘掛に設置している。
台車は683系2000番代と同様、軸梁式・軽量ボルスタレス構造のWDT301・WTR301であるが、雪かき受部の強度アップのため、側梁ばね帽の構成を変更するなど、一部構造の変更が行われている。主電動機は定格出力を245kWから255kWへ向上、最高運転速度は130km/h。ただし設計最高速度は160km/hとなっており、160km/h運転する場合にはブレーキ装置の変更で対応するため、これを区分するためM車は車両形式に1000を加え5000番代の付番としている(「サンダーバード」での運用では130km/h運転)。
今回登場した車両の製造は近畿車輌で、今後9両編成12本を製造し金沢総合車両所に配置予定、6月から営業運転を開始し、2011年春までに485系との置き換えを完了する予定である。

撮 影:金沢総合車両所 2009-2-15 安田孝哉


愛知環状鉄道2000系増備車


岡崎方2152以下2連


ND731形台車

JR東海313系をベースとし、現在18編成36両が運用されている愛知環状鉄道2000系に、3月14日に実施されるダイヤ改正に合わせて増備車2連2本が投入された。最大の変更点は在来2000系がセミクロスシート仕様なのに対して、ラッシュ時の輸送に重点を置きオールロングシートとされたことで、シート中間部にスタンションポールを配置、シートのモケットの色もブルーを基調(優先席部はグレー)とし、床敷物は現行のブラウン系からグレー系を基調としたツートンカラーに変更、また外観デザインはカラーリングが従来の緑のグラフィックが入ったものに対して、同社のコーポレートカラーであるブルーのシンプルな帯となり、外観の印象が大きく変わった他には機構的には変化はない。台車は従来車と同様、積層ゴムを使用したウイングばね式のボルスタレス台車、ND731(M台車)・ND731T(T台車)。
編成は岡崎方Mcの2100形・高蔵寺方Tc'の2200形から成る2連で、車両番号は2151-2251(G51編成)、2152-2252(G52編成)となる。製造は日本車輌製造。

撮 影:北野枡塚車両基地 2009-3-4 安田孝哉


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